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2018.09.22
近衛 はな シネマ倶楽部

私と映画 上映+トーク 「イザイホウ ―神の島・久高島の祭祀ー」

私と映画 上映+トーク「イザイホウ-神の島・久高島の祭祀」

ゲスト
野村 岳也さん(映画監督)

 

野村岳也監督が1967年に撮られた記録映画『イザイホウ』をご紹介しました。
監督ご自身、久高の人の思いに配慮して、ながいこと公開せず封印してきた作品です。

私は2014年にふらりと立ち寄った渋谷のアップリンクでこの映画を観ました。
小舟で荒波に揉まれる男、「エーファイエーファイ」と叫びながら
洗い髪を乱して素足で駆け出す女……衝撃的な映像。

スクリーンに釘付けになりました。「すごいものを観てしまった。」
目の前の世界が揺さぶられて、なんだかふらふらになって映画館を出たことを覚えています。
そうしてこの映画を観たことをきっかけに、久高島へ旅をしました。

野村監督は、実際にお会いしてみると、子供のような無垢さが見え隠れする、シャイな方でした。

監督はお祭りの3ヶ月前に島にはいり、最初の一ヶ月は全くカメラをまわさず島人と生活をともにしたそうです。
監督のしずかな佇まい、記録することへの異様なくらいの「無欲さ」みたいなものが、島人に心を開かせ、
大人から子供まで素のままで映像におさまるという奇跡の記録映像を生んだのだろうと思います。

久高島で12年に一度行われてきた「イザイホウ」は、1978年を最後に姿を消しました。
消えてしまった、もう二度と蘇らない人々の営みが映像にうつって残る。すごいことだと思います。
生きること、祈ること、歌うこと、踊ること・・・人間の原点を見せてくれる映画でした。

「多くの祭りや神事が時代の波と共に形骸化し、観光資源に変身したケースの多いなかで、
イザイホウは厳粛な神事の心を失わず、生きたまま消え去った」。
監督の印象的な言葉です。

 

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