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2015.09.05
近衛 はな シネマ倶楽部

私と映画 「成瀬巳喜男監督の撮影現場」

私と映画 「成瀬巳喜男 撮影現場」

ゲスト
●小谷 承靖さん(映画監督)
●井口 奈己さん(映画監督)

 

7月にひきつづき、成瀬巳喜男監督のお話。
ゲストに、「乱れる」「女の中にいる他人」で成瀬さんの助監督をなさった小谷承靖 監督。
そして成瀬映画大好きとおっしゃる井口奈己監督においでいただきました。

カチンコの叩き方から、演出の技法、編集にいたるまでお話は多岐にわたり、
「監督」がいかにして映画作りに取り組んでいらっしゃるのか、創作の秘密を教えていただきました。

…そして「監督」の目は、どのように成瀬作品を見ていらっしゃるのか、
成瀬監督の「目線送り」「唸るほどうまい編集」、ロケの様子についても伺いました。

それにしても、「乱れる」は本当の名作だなと思います。
何度見ても、泣けます、唸らされます。

やっぱり「乱れる」の高峰さんはすごいです。
(高峰秀子さんは好きな女優さんです、
小津作品の「宗方姉妹」の高峰さんもチャーミング、
見れば見るほど、高峰さんが好きになってしまいます。エッセイも、男っぽくておもしろいです)
有名な銀山温泉でのラストシーンは言わずもがな、お茶の間のちょっとしたシーンとかも素晴らしいです。

加山雄三さんも若大将シリーズとはまた違った魅力で、
豪放な物言いのなかに姉への恋心をひそませている感じ、なんだか切ないのです。
(加山さんは、黒澤作品の「椿三十郎」の間の抜けた若侍が個人的には好きですが、)

二ヶ月にわたって成瀬作品を繰り返し見て思うのは、
映画のスクリーンのなかでしか捕まえられないような実に些細な心の動きや、
人間の関係性を描く名人なんだなぁということです。
ちょっとした目線の配り、仕草がその人をふいに露わにしてしまう。

人間にはこんな感情があったのかと気付かされはっとして、
画面に釘付けになることもしばしばでした。

俳優の小林桂樹さんが面白いことを書いておられました。
成瀬監督のカメラは、撮影のなかでほんのすこしずつ動くのだ、と。
その動きに、なにか大切な秘密があるのではないのか、と。

成瀬巳喜男作品の奥行きははかりしれません、
じっくり見はじめると、きりのないほど謎があるようです。

 

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