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2015.07.04
近衛 はな シネマ倶楽部

私と映画 「成瀬巳喜男 映画の面影」

私と映画 「成瀬巳喜男 映画の面影」

女優の香川京子さん、評論家の川本三郎さんをお招きして、
成瀬巳喜男監督の映画の魅力を語っていただきました。

黒澤、小津、溝口監督と比べると地味なイメージを持っていましたが、
川本さんが「木綿の手ざわり」とおっしゃるように、成瀬監督の映画は、
なんだかあったかくて、だんだん肌になじんでくる、心地よさがあります。

私が特に面白いと思った作品は、
「驟雨」「おかあさん」「あらくれ」です。

「驟雨」は、原節子さんがくたびれた主婦を演じているのが楽しく、
「おかあさん」では、香川京子さんが眩しいくらいに輝いていて、
「あらくれ」では、高峰秀子さんが大暴れしています。

どのお話も、かなしみのなかにおかしみが、
おかしみのなかにかなしみがあるようです。

ユーモアが、貧しさや人生の無常を包み込んで、
淡々と時間が流れていくところが、かえってきびしくもあり、
いいなぁと思いました。

実際にお目にかかった香川京子さんは、とっても優しい方でした。
ほんとうに、「まあだだよ」(黒澤)で演じていらっしゃる、
おっとりした奥さんのような方でした。

私は、実は「近松物語」(溝口)のなかで香川さん演ずる
「おさん」が大好き……!
小舟のうえで、「おさん」が生き続ける決意をするシーン、
ラストで引き回されている表情は忘れがたいのです。

 

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